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■--軍隊のお話
++ 多足          

さて、「敵の無力化」って話が出てたんで、それについて少し突っ込んだ方が面白そうって思ったんで、ここではそれについて考えてみましょう。
目の前の敵が、自分を殺すことが出来る武器を持ってこちらに殺意を向けている。これを無力化する一番確実な方法は、相手を殺すことです。しかし、例えばこっちが銃を持っていて、相手が素手な場合。銃を突きつけて「おとなしくしないと殺すぞ」と言えば、大抵の場合相手は大人しくするでしょう。ハイ、殺さなくても無力化できました。
相手が銃を持ってこっちを攻撃する意志を持ってる。しかし、こっちには戦車みたいに銃なんかじゃどうにも出来ない装備があるとする。これまた、大抵の場合相手を殺さなくても、こっちに攻撃する意志を奪えますよね。
つまり、圧倒的な戦力を誇示するだけでも、相手を無力化することは可能なのです。「もしオレとやり合うなら、容赦しないぜ」って恫喝するのも、軍隊の役割の一つ、相手を無力化するということなのです。
宇宙開発もそうですよね。アメリカが核兵器を持ち、優秀な爆撃機を多数持っている。これに対し、ソ連は核兵器はあるけど航空戦力で殴りあった場合、不利なのか有利なのかよーわからん。ところが、1950年代後半に、ソ連はアメリカより早く人工衛星の打ち上げに成功する。つまり、大質量の物体を宇宙に打ち上げ、衛星軌道に乗せる技術があるならば、それを発展させてその物体を「落とす」技術さえあれば… 核爆弾を、航空機などという迎撃可能なモノで運用せずとも、宇宙まで上げて落とせばいいわけでして。宇宙ロケットというものの存在が、今までの通常戦力を無力化するわけです。
実際にはスプートニク1号は80kgちょっとしか無いんで「大質量」というのは程遠く、核爆弾を搭載できるようになるにはさらに時間が必要ではあったし、ソ連の弾道ミサイル開発は事故連発でいっぱいいっぱいではありました。しかし、地べたで戦車に乗って戦おうってアメリカ兵にとっては、「オレらがどんだけ頑張っても、宇宙から核爆弾落とされるんじゃ意味ないよね」って思わせるには十分だったでしょう。
各国の宇宙開発を軍隊がやってたのは、こんな事情があったからです。つまり、電波を発信しながら衛星軌道をクルクル回るだけのスプートニク一号も、「敵を無力化するための兵器である」と言えなくも無いわけで。

…ちなみに中国人民解放軍の軍事費、公表されてる分には弾道ミサイルの維持管理費とかは含まれて無いとか。宇宙開発関係の予算扱いで、「軍事費」じゃ無いんだってさ。なんてインチキ。
.. 2009年08月21日 10:00   No.575001

++ 多足       
まあ何が言いたいのか自分でもまとまらなくなってきてますが、つまるところ軍隊のお仕事の重要なもの、「抑止力」ってやつの一旦がここにあるわけです。
また、敵対する国家が、互いに巨大な軍事力を持ち、お互い殴り合えば大怪我どころじゃすまんぞってことでにらみ合う状態も「抑止力」が働いている、と言えます。東西冷戦が判りやすい例です。日本もその一翼を担い、ソ連空軍や極東艦隊と睨み合ってたわけです。この間、互いの軍隊は「殺し合い」をしてはいないけど、立派に「お仕事」を果たしていたわけでございます。
自衛隊も、日々軍事力を誇示するような訓練をすることで、抑止力としてのお仕事を果たしてるわけです。

この話は「戦場」において敵を殺さず無力化するって話とは違うものですが、軍隊の存在意味ってのを考える上で重要になってきます。
「戦場」の話は、もうちょっと話が進んでからって思ってますが先にやった方が良いですかね?

.. 2009年08月21日 10:12   No.575002
++ カン       
レスさせていただきます。
軍隊の持つ抑止力、多足様のおっしゃる通りかと。しかし、冷静な判断力を持つ相手にしか通用しないものとも言えるかもしれないな、と思いました。宗教的情熱や、使命感を持つ相手は敢えて蟷螂の斧を振り上げるのではないかと。
戦前の日本は彼我の分析ができなかっただけかも知れませんが、ベトナムやイラク、アフガニスタンはアメリカの軍事力に抵抗しています(フセイン政権は倒れましたが)。
抑止力が通用しないケースもある、ということでしょうか?

.. 2009年08月22日 14:35   No.575003
++ 多足       
戦争を起こす上で重要なこと。それは、戦争をした結果どういう状態に持って行きたいのか、はっきりと決めることです。
戦争というものの本質は、懸案を抱えた国家間で、その問題の解決を武力でもって強行する、ということです。つまり武力を用いた外交交渉なのです。だから、国家のお役所である軍隊が「武力交渉」にあたるわけです。拳で説得ってやつですね。
湾岸戦争の時、アメリカをはじめとする多国籍軍の目的は、クウェートの開放でした。しかしイラク戦争の際の目的はフセイン政権の打倒。同じアメリカ対イラクの戦争でも、目標とするラインが全然違ったわけです。

さて、その目的を達成するために、何をどうすれば良いのか。それぞれ状況によって変わってきます。
湾岸戦争の場合、イラクの目的はクウェートの占領により、海を確保すること。この際、国際社会からの非難を受けることは解ってたでしょう。
おそらくイラクはこの段階で、せいぜい経済制裁を受ける程度だと思ってたのではないでしょうか。しかし、経済制裁を受けても、自国には石油がある。それを直接自国が治めた港、つまりクウェートの港をつかって輸出出来るなら、十分プラスだと考えたのではないでしょうか。
イラクは、中東有数の軍事大国。仮にアメリカ軍が攻めてきても、攻めてきたアメリカ軍に大打撃を与える自信がある。アメリカもそう考えていて、実際に攻め込むのは躊躇するにちがいない。そう読んでたのだと思います。ところがまあ、アメリカはイラクを外交的に包囲することに成功。さらにイラク軍を圧倒的に上回る軍事技術により、確実にイラク軍を無力化できる自信があったわけです。なので武力行使に踏み切った、と。
つまり、イラク軍の持つ抑止力を、アメリカという国家の意志が上回った、ということ。イラクにしてみりゃアテが外れた、というわけです。

ベトナムの場合、アメリカの傀儡政権である南ベトナム政府の打倒が北ベトナムの目的だったわけで。アメリカから見た場合、南ベトナムという頼りにならない同盟国を守るために、どれだけホンキで戦い続けなければならないのか。その意志が足りなくなったから撤退した、と考えるといいんじゃないかな。

日本の場合。アメリカの軍事力を甘く見てた、というより、アメリカという国家の意志を読み違えた、という感じでしょうか。だからまあ、酷い言い方をすればアホには抑止力が通じない。口で言ってわからんヤツには、実際力を使ってわからせる、という感じ。なんか思ってた以上に酷い表現だw

.. 2009年08月23日 08:33   No.575004


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