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さて、「敵の無力化」って話が出てたんで、それについて少し突っ込んだ方が面白そうって思ったんで、ここではそれについて考えてみましょう。 目の前の敵が、自分を殺すことが出来る武器を持ってこちらに殺意を向けている。これを無力化する一番確実な方法は、相手を殺すことです。しかし、例えばこっちが銃を持っていて、相手が素手な場合。銃を突きつけて「おとなしくしないと殺すぞ」と言えば、大抵の場合相手は大人しくするでしょう。ハイ、殺さなくても無力化できました。 相手が銃を持ってこっちを攻撃する意志を持ってる。しかし、こっちには戦車みたいに銃なんかじゃどうにも出来ない装備があるとする。これまた、大抵の場合相手を殺さなくても、こっちに攻撃する意志を奪えますよね。 つまり、圧倒的な戦力を誇示するだけでも、相手を無力化することは可能なのです。「もしオレとやり合うなら、容赦しないぜ」って恫喝するのも、軍隊の役割の一つ、相手を無力化するということなのです。 宇宙開発もそうですよね。アメリカが核兵器を持ち、優秀な爆撃機を多数持っている。これに対し、ソ連は核兵器はあるけど航空戦力で殴りあった場合、不利なのか有利なのかよーわからん。ところが、1950年代後半に、ソ連はアメリカより早く人工衛星の打ち上げに成功する。つまり、大質量の物体を宇宙に打ち上げ、衛星軌道に乗せる技術があるならば、それを発展させてその物体を「落とす」技術さえあれば… 核爆弾を、航空機などという迎撃可能なモノで運用せずとも、宇宙まで上げて落とせばいいわけでして。宇宙ロケットというものの存在が、今までの通常戦力を無力化するわけです。 実際にはスプートニク1号は80kgちょっとしか無いんで「大質量」というのは程遠く、核爆弾を搭載できるようになるにはさらに時間が必要ではあったし、ソ連の弾道ミサイル開発は事故連発でいっぱいいっぱいではありました。しかし、地べたで戦車に乗って戦おうってアメリカ兵にとっては、「オレらがどんだけ頑張っても、宇宙から核爆弾落とされるんじゃ意味ないよね」って思わせるには十分だったでしょう。 各国の宇宙開発を軍隊がやってたのは、こんな事情があったからです。つまり、電波を発信しながら衛星軌道をクルクル回るだけのスプートニク一号も、「敵を無力化するための兵器である」と言えなくも無いわけで。
…ちなみに中国人民解放軍の軍事費、公表されてる分には弾道ミサイルの維持管理費とかは含まれて無いとか。宇宙開発関係の予算扱いで、「軍事費」じゃ無いんだってさ。なんてインチキ。
.. 2009年08月21日 10:00 No.575001
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