返信


■--昨日立てる予定だったけど
++ 多足          

原爆とか日米安保とか軍隊そのものの話とか、なんか色々まとめて新規スレを立てる、とか言っておきながら今日まで置いてたんですが… ぶっちゃけ、議論云々のスレの、No.573006を考えるのに凄く時間かかってたんですよ。というか、何度も書き直した。

でまあ、これを機会に軍事関係でちょっと根本的な話を整理し直してみようかな、と。
この掲示板で言えば、つかじさん、長門さん、イマダナナシさんが軍事系詳しい部類になり、HINAKAさん、カンさんが初心者、ずた氏、文月くん、はっしーさん他があんまし興味無いしよーわからん、という立場だと思うのですが。
でまあ、前者と後者の間で、軍事、というか軍隊というものにかなり認識の差があると感じるんですよ。前者の中でもその差は当然あるでしょうが。
後者からの質問に前者が答える、後者の間違いを前者が指摘する。こういう流れが多いと思うのですが、そこで重要な点。前者は、後者に対して後者が理解できるように説明をしているのか? 後者は、前者の説明をどう理解したのか?
この部分をお互いが尊重しなければ、せっかくの議論も堂々巡りになってしまうわけです。結論を焦らず、一歩ずつ前進することこそが大切なのです。

まあ、学会とかで専門家、偉い人がね、その分野の素人に対して説明するのが凄く下手ってのをよく見るんですよ。「自分は偉い。難しい話をした結果相手にそれが伝わらないのは、相手の勉強不足が悪いんだ」って考え方の人が多いのなんの。知ってる人にしかわからない専門用語を並べて説明した気になって悦に入ってる。そんな説明に、価値などありません。聞く側がせっかく興味持ったのを、その心を潰すような「説明」してるようじゃダメダメなのです。
「専門家」は、「素人」に理解できるように説明出来てこそ意味があるのです。また、素人に説明するってのは、自分の理解を確認、深めることでもあります。何かを質問し、それに答える。双方にとって前進の場であるのが議論です。相手を尊重すれば、自ら得るものも大きくなります。その姿勢を心がけたいものでございます。
.. 2009年08月18日 08:00   No.574001

++ 多足       
前置きが長過ぎですがあ、いよいよ本題に入りましょう。「軍隊は人殺しが商売」、という認識。これは多くの日本人が普通に持ってる認識なのではないでしょうか。じゃあ、明確に軍隊である自衛隊。彼らは、人殺しで飯食ってるんでしょうか?
この問題を考えるには、「軍隊」というものが何者であるか、ということをじっくり考える必要があります。おそらく、この話はとても長くなるでしょう。このスレだけで終わるとは思ってません。なので、皆さん、結論を急がないようにしてくださいね。

まずは陸軍と海軍の話から。
陸軍はわかりやすく、その国家の領土を守るために存在するわけです。何から守るって、そりゃ他所の国家による攻撃から。また、治安組織としても機能しますね。つまり、国家の内側に潜む敵からも、国家を守るわけでして。しかしこの話、クーデターの話とか軍政の話とかになって話が別方向に膨らむんで、今はとりあえず「陸軍=領土内の国民、権益を守るために設立」と考えてください。
で、次、海軍。
海軍は自国領土の近くの海、領海を守るために設立したと考えて良いでしょう。陸軍の延長とも取れますが、より他国との接触が多いということを認識しておきましょう。
日本のような島国に限らなくとも、今の国家は海外との交易が盛んです。そこで問題となってくるのが交易路の安全確保。自国の船が海賊や、仲の悪い国に襲われないよう、海路の安全を確保する必要がありますね。つまり、他国の港から、自国の港までの航路を守るのも海軍の役割です。
今の日本では、ソマリア沖に護衛艦を派遣し、直接的に脅威から自国の海路を守る行動に出ましたが、基本的には海路の安全は他国に任せてます。つまり、同盟国の軍事力に海路の治安を任せてるわけです。自国の生命線を他国に任せる以上、対価を払うのも当然だし、その他国との信頼関係ってのが非常に重要である、という点はご理解いただけるかと。つまり、自国の軍隊により直接的に海路を守るのではなく、他国との連携で間接的に守ってる、ということです。

なんか話がイマイチまとまらないな。とりあえず今日のところはこんな感じで。「軍隊の発足理由は、自国の領土、国民、権益を直接的に守るため」というお話です。ここまでの流れで異論、疑問などありましたらどうぞー。
できれば最初に上げた「後者」の皆様のご意見伺いたいトコロ。

.. 2009年08月18日 08:44   No.574002
++ HINAKA       
HINAKAです。

多足様

日本の憲法と、自衛隊の問題を抜きにして、軍事とはもしくは軍隊とは何か?を考える時、個人的には以下の言葉を、座右の銘としています。

「近代民主主義国家にあって、事実上何もしない事を、最善とする唯一の役所」であり、「本来その職にある者が、定年に至るまで実戦を望まれない訓練を、日夜実務として繰り返す役人」だと言う事です。

実際には周辺国や、外交問題等の駆け引きの道具としての、抑止力としての存在価値他、目に見えな存在意義も大きい事も事実でしょう。
ただし、公費を国民が自分達の税金で賄っている。民主国家である以上、その本質が何もしない事が最善であると考えられ、その為に膨大な予算を組む事が、予め許される唯一の国家機関。である事は、間違い無いと思います。

ですから、結論だけを申し上げれば「近代民主主義国家を標榜するのであれば、国防軍は必要」だと、考えます。
なお、過去から現在至るまで、基本的に「国防」を任務としない軍隊は、存在しないそうです。
過去の歴史的事実の結果から、「これは侵略戦争だ」という判断が下されたとしても、その当初は潜在的脅威や、国益に対する「先手必勝」の戦いというのが、大義名分である事はローマ時代から変わらないそうです。

民主主義国家で、治安を維持を担当するのは、警察(海上保安庁も含む)と消防であり、これは悲しい事に日々これ実務で、たまに出動が無くても防犯・防火の広報や警戒(パトロール)さらには、国民の危険防止が建前の許認可作業等。
山のような日常業務があり、その中で治安維持や人命救助(兇悪犯逮捕術・レスキュー活動など)の訓練も、欠かせません。

基本的に軍隊は、このような日常的な雑事には、関わりません。
さらに軍隊は基本的に、自国民の生命財産及び、国益を武力もって侵す者を、撃退する組織です。これは警察活動のように、司法制度下で法に反した犯罪者の逮捕拘留を目的とした、警察任務とはまったく異なります。


.. 2009年08月18日 18:21   No.574003
++ HINAKA       
長くなって済みませんが、事柄がこがらなもので……。

多足様の言われる、軍隊とは人殺しの集団というイメージは、この国防の為には殺傷も問わない事からも、派生しているのではないでしょうか?
警察組織は、治安維持のため最終手段として、犯罪者の殺害も視野に入れますが、現場での正当防衛的な発砲などを除けば、この許可は容易には下りません。また、何かの間違いで(そのつもりはなかったのに)、結局は死に至らしめた場合も、その責任は問われて当然です。

ですが、国防とは国境外から武器を使用し、攻撃してくる相手を撃退し、その過程において殺傷は避けられません。
この為、近代民主主義国家の軍隊及び国防予算は、その国家政策が正常であればあるほど、常に批判に晒される事になります。これを、不当だとするのは、その国の軍隊にはそぐわないでしょう。

建前ですが、近代民主主義国家の軍隊には、常に国民の生命財産を守るという、高いモラルと「税金泥棒」の汚名を甘んじて受け、「自分達が泥棒呼ばわりされるのは当然」という確固たる覚悟が、求められます。

そして最後に、これは特に近年盛んに言われている事ですが、国防には人為的侵略という人災と同時に、大きな自然災害という、天災も含まれるという考えです。
天災に対する備えは、近代国家の軍隊でも、近年まで余り重要視されていませんでした。しかし冷戦消滅後、目に見えない人災よりも現実の天災という考えが、民主主義の軍隊には求められるようになりました。

通常は、警察や消防などの治安組織と、関係省庁がその任に当たっていますが、大規模な自然災害の場合、通常の組織だけでは手に負えない事態が生じます。
これまでも、大規模な天災に関しては、軍隊が出動する事は、少なくありませんでした。しかしそれを、国防上の主な任務と位置付けている軍隊もしくは、軍隊に限りなく近い組織は極少数でした。

しかしこれからは、天災からの国防という意識が、国外の難民救済問題(国益)なども含めて、高まると思います。
何しろ、「訓練が職務」の唯一のお役所なのですから……。

以上、近代民主主義国家における「国防軍」の、在り方についての、個人的な見解です。

お粗末様でした。


.. 2009年08月18日 18:36   No.574004
++ カン       
どこまで多足様のご期待に添えるかわかりませんが、レスしてみます。
自分の認識では、自衛隊は軍隊ではないので、当然人殺しが商売ではないと思っています。日本は自国の交戦権を認めない国なので、侵略戦争は行なわないはずです。自衛のために存在する自衛隊は、日本を侵略する敵のみを殺傷するのであり、個人で言えば正当防衛にあたるので、その行為は殺人ではないと思います。
他国の軍隊では、侵略行為はありうることです。現在でこそ、侵略戦争など起こすのは少しイカれた国というイメージになっているかと思いますが、かつて侵略を行なった国は(日本を含めて)たくさんありましたし、うまくやった国が現在大国になっていると思います。自国の利益を伸ばすために行なう侵略戦争で行なわれる敵勢力の排除とは、敵兵の殺傷を意味すると思います。種ガンではないのですから、できるだけ手足を狙うとかはありえないでしょう。
兵器開発の観点から。自分の知る限り、兵器はできるだけ多数の敵兵を殺傷することを目的に行なわれて来たと思います。刀槍、銃砲からはじまり毒ガス、細菌兵器、核兵器…中性子爆弾なんてのもありますね。大金を投じて開発された大量破壊兵器の数々は、どれもこれも人殺しの道具でしょう。
軍隊は、命令があれば人を殺さなければなりません。そういう組織だと思います。(相当の間望めないと思いますが)世界が平和にならない限り、必要なものだとも思います。ひるがえって自衛隊。第二次大戦で敗れた後に創設された、日本を守るための存在。良いではないですか。ジパングにも「他国に対して一発の銃弾も放っていないことは誇っても良い」とあったと記憶しています。自分は全面的に賛同します。
軍隊は自国の権益のために他国民を殺傷・排除するのが仕事だと思っています。自衛隊にはそのような機能がないので、軍隊ではないと思っています。

.. 2009年08月19日 00:25   No.574005
++ 多足       
うむ。予想していた通り、いや、それ以上の展開ですな。
まず、本スレは先にカンさんが発した「軍隊は人殺しがお仕事」って発言を発端に、改めて「軍隊、戦争とは何か?」を考えることを趣旨としています。結論が出るまで、非常に多くの要素を語らねばならないでしょう。軍隊の意味、戦争がなぜ続くか、戦争犯罪などなど、これまで当掲示板で話題になる度認識の違いが発生していた問題について、ですから。結論を急いではいけません。

で、まあ、HINAKAさんの最初の勘違い。自分は、「軍隊は人殺しがお仕事」とは考えていません。カンさんの言うように、「自衛隊は軍隊ではないから、人殺しがお仕事ではない」とも考えていません。自分は、日本の自衛隊は、れっきとした国防軍、軍隊であると考えてます。
そして、たとえ世界が平和になっても、軍隊は必要でしょう。人間の本質として。まあ、その話はまだまだ先になるでしょうから、今は置いとこう。

HINAKAさんの発言には、多くの間違いと思い込みが含まれています。これも追々話していきましょうか。
失礼を承知で申し上げれば、HINAKAさんは「民主主義国」というものに幻想を抱き、かつ、SF小説の知識がごっちゃになってる感を受けます。イメージ先行の思い込みの結果、壮大な勘違いをしている。それは、今まで何度となく指摘されているので、心当たりがあるとは思います。イージス艦の性能とか、マジノ要塞とか。
でまあ、今回の場合、軍隊の役割の一つ、治安維持機関のひとつであるということがスッポリ抜け落ちてます。近年になって災害出動云々って。なんで限定的な知識で思い込んでるのやら(毒)。HINAKAさんの言う「近年」って、いつだよ…
関東大震災の際、日本海軍の艦艇は各地の基地から救援物資を輸送してます。戦艦長門も、その任務についたことがあります。また、陸軍ってのは戦場という「インフラが何も無いところ」でも活動できるよう、昔っから訓練されてます。大災害の被災地という、インフラが破壊された地域で、自力で活動出来る組織、それが陸軍です。昔っから、軍隊は災害に対応してきたんですよ。っつーか日本のニュースではほとんど写さないから判りにくいけど、大災害の度に自衛隊は出動してうでしょーが、昔から。『よみがえる空』がSFだとでも思ってました?
そもそも軍隊は警察や消防と同じ、治安組織です。アメリカの沿岸警備隊とか見ればわかるでしょ? あれは準軍事組織であり、常時活動している治安組織です。州兵なんかも、地方警察(この表現微妙だな)で手に負えない災害、人災の折には出動し、治安維持活動に出ます。
軍隊だって同じなんですよ。普段は警察が治安維持にあたるから、基本的に軍隊は法の執行権が無いってだけ。

.. 2009年08月19日 08:02   No.574006
++ 多足       
さて、カンさんの話にもちょっと触れましょうか。
自衛隊は「Self Defense Force」、直訳すれば「自らを守るための力」、つまり「国防軍」です。陸自は「Army」だし、海自は「Navy」、空自は「Air Force」です。BBCニュースでも問答無用で「Army」って言ってる。
つまりですね、日本人がどんだけ言葉変えて言おうが、自衛隊は世界的には軍隊なんですよ。
攻め込んでくる敵を討つことだけを目的とした軍隊。まあ、基本的に世界中の軍隊がそうなんですよ。たとえば「Israel Defense Forces」、イスラエル国防軍。国連決議で決められた国境を犯し、エジプトやヨルダンなど周辺各国に攻め込み、既成事実化した領土を広げてます。その事実だけを見れば侵略戦争ですね。しかし、彼らの主張は「自らの生命圏、安全圏を確保するための自衛の戦争」なわけでして。事実、最近のガザの件でもわかるように、武装組織から直接的、物理的な脅威を受けてますから。
スイスやスウェーデンなんかは武装中立で、かなり長いこと実戦をやってませんね。日本も実戦をやってないし中立だって考える人も多いですが、それは間違いだったり。あきらかにアメリカの同盟国である以上「中立」では無いし、国籍不明の中国原潜を追跡したり、防空識別圏に侵入した旧ソ連機を迎え撃ったり、ベトナム沖で機雷除去やったり、カンボジアやイラクに地上部隊送って工事やったり。これらも「実戦」ですから。

あと一点。戦闘における軍隊の任務、それは「敵を殺すこと」というより、「敵を無力化すること」です。武器を持った相手を、安全に無力化する一番手っ取り早い方法が、「敵を殺すこと」ってだけです。
詭弁に聞こえるかもしれませんが、兵糧攻めや通商破壊戦、対人地雷の開発、はたまた情報戦などの正面きって撃ち合う戦い意外の部分などを考える上で、意外と重要な認識だったりします。

.. 2009年08月19日 08:35   No.574007
++ カン       
うーむ、自分の発言には責任を持たなければならないことは当然ですが、前回のレスは酔っていたせいもあって説得力に欠けますね(お前が言うな!と一人突っ込み)ただ酔っぱらっていた分、思っていることをそのまま書いていたりもします(笑)
軍隊の定義って何でしょうか。HINAKA様の発言にあった、国防を専門としない軍隊はない、というのを見て思ったんですが、近世まで猛威をふるった遊牧民の軍団は、国防なんて考えていなかったような気がするんです。またしても素人考えかなあ。素人考えによる軍隊の定義:特定の人間(の集団)の利益を守るために存在する、指揮系統を備えた武装集団。今日も少しアルコールが入っているんですが(笑)どうでしょうか。次回までに、wikiでも調べてみます。
自分の考え方にはかなりクセがあると自覚はしているんですが、実は借り物の考えが多いです。「ジパング」における自衛隊観もそうですし、「軍隊は人殺しが商売」も装甲騎兵ボトムズに出てくる台詞だったりします。まあ、心から賛同しているので発言している訳ですが。自衛隊は国家に所属する武装組織ですから、世界から「軍隊」とみなされるのはわかります。ただ、繰り返しになりますが現状では交戦権を憲法で認めていません(そのために有事の際、戦闘命令を出した指揮官の責任を問われる可能性がある、という話も聞いたことがあります)。交戦権のない軍隊は侵略戦争などするわけがないので、「軍隊は人殺しが云々」の「軍隊」には、自衛隊は該当しないと思っています(我ながらクドいと思いますが、この点については誤解されたくないのです)。まあ、今後憲法が変わったりすると話は違ってきますが。
しかし「交戦権を認めない」というのは極端な話だとは思います。現憲法について、アメリカの理想主義者の考えがかなり反映されているらしい、という話は聞いたことがあるんですが、中国・韓国の意思もかなり入っているのでは、などと考えています。秀吉の時代からろくなことをしない日本を、非武装にしてしまえ、みたいな。思い切って非武装にして、ソビエトに占領されてしまったらどうなっていたんだろう、なんて考えたこともあります。支配者階級は上手に寝返って、大勢は変わらなかったのではないかと思いますが。
敵の無力化>
おっしゃることはわかるつもりです。しかし「無力化光線」とか素敵な発明でもされない限り、無力化=殺害ではないでしょうか。自分は軍事教練を受けたことはありませんが、人間の急所についてレクチャーを受けると読んだことがあります。また、兵士として必殺の心構えを持たないと、ハートマン軍曹の怒りをかってしまうと思います(笑)

.. 2009年08月20日 01:00   No.574008
++ イマダ・ナナシ(もうすぐ改名w       
 うぃーっす。さすらいの歴史家のイマダ・ナナシでーす。
 ここんところ、書き込み控えてたけど、なんかよばれたみたいなんで書き込みますぜ。おもしろそうなテーマであるし、例によって、HINAKAさんが突っ込みどころ満載だからw
 うーん・・・、HINAKAさんは、文章能力があるだけに、ディベート能力の欠如というか理想と現実をごっちゃにして思い込みだけで論理を展開するところが惜しいところです。

 つーことで、本題の、軍隊なんですが、「軍隊とは戦争の道具」というのが基本的な定義なのではないでしょうか。なんといっても、軍隊のみが果たせる任務は「戦争」ですから。
 治安維持活動も確かに担いますが、それは通常の警察能力を超えたときのみ。
 確かに、インフラのない災害地で活動できるのは軍隊だけ。だから、大規模災害に対応できるのは軍隊だけというのも事実です。従って、災害対応も軍隊が取り扱いますが、治安維持活動と同じで消防のレスキューが対処できない場合に軍隊は出張ってくるわけです。災害対応も、消防も果たせる任務であって、災害対応は軍隊のみが果たせる任務という訳じゃないですよね。(大規模災害対応に適した資材を自衛隊がさらに購入すべき。そこで、防衛予算の拡大をというのなら、それはそれで、一つの意見としてはありだと思います。)
 この辺は多足さんの上のスレでの発言もあって、皆さん、おわかりのことでしょう。
 ということで、「戦争の道具」である軍隊を語る上では、軍隊のみが果たしている「戦争」とはなんぞやってことも論じるのが必要ではないかと思います。

 で、「戦争」とはなんぞやというと、クラウゼヴィッツあたりからの伝統的な戦争の定義のひとつは、「他国に対する国家意思の実力による強制」であり、「その強制された他国の意思に対して実力を持って対応する状態」です。
 たとえば、A国とB国で貿易条件の話し合いが行われているとする。ところが、貿易条件などで自国の言い分が認められない場合に、話し合いのテーブルではなく、一方の国(攻撃側:以下、A国)が軍事力を持って自国の意思を相手に認めさせようとする。これに対応して、もう一方の国(防衛側;以下、B国)が実力を持って対応するというのが戦争ということになります。

 ここで、当たり前の話ですが、戦争がおこなわれるには攻撃側のA国が必要です。自国の利益のために、B国の指導者にA国の国家意思を強制するために、施設なり人民なりを破壊したり、また、その破壊を防ごうと対応するB国側の軍隊を排除できる、攻撃者としての軍隊が必要になります。従って、戦争の道具としての軍隊は、他国に対して自国の意思を実力をもって強制するための攻撃的機能と、他国からの実力を持った意思の強制をはねのけるための防御的機能の2つの機能を保持することになります。
 この点について、侵略という領土的野心をともなった言葉を用いることで、カン氏とHINAKA氏は誤解し、多足氏もそれに引きずられているとおもいます。
 今後の議論のために、一般的に、軍隊は防衛のみが任務ではないことを再確認しとくべきでしょう。
 もちろん、「防衛が主任務」であるというのはそのとおりです。
 だいたい、「攻撃が主任務」であるっていうふうに明記したら、不必要な摩擦が生じます。世界の警察気取りかこの野郎といわれるわけです。だから、たいていの国の軍隊が、侵略を否定し、防衛を主任務としていることをイメージさせる、国防軍なり自衛隊なりの名称になるわけです。
 戦争は金がかかるので、平和が一番です。

.. 2009年08月20日 03:33   No.574009
++ イマダ・ナナシ       
 で、HINAKAさんには多足さんが上で言いたいことをだいたい言ってくれてるので、たぶん初対面のカンさんの直前のレスに対する反論を以下のレスで

 これは特に、カン氏に言えることだと思うのですが、戦争の道具としての軍隊と、戦場における兵士をごっちゃにすると齟齬が生じます。というか、生じてます。
 戦場でやさぐれた兵隊が「軍隊は人殺しが商売」というのは、その兵士の主観的には間違ってないと、多足さんも同意しているはずです。問題となっているのは、国家機能としての軍隊ですので、その点をごっちゃにすると、これ以降のやりとりはすれ違いのまま、荒れて終わりますw

 さらに、無力化という言葉にも、誤解があるかと。こちらの兵隊を殺せない状態にすれば、十分に敵を無力化したといえます。
 たとえば、塹壕にこもる敵兵に対して、戦術レベルでは、機関銃で「命中しなくてもかまわない射撃」をかけて頭を伏せさせ(=制圧射撃)る状態にすることで、敵を無力化したと言えます。腹を撃って、メディーックと叫ばせる状態にすれば、死に至らなくても敵兵を無力化しています。また、作戦レベルで、敵の補給線を絶つことなどで、敵を弾切れにした状態でも敵を無力化したと言えます。大戦略レベルでは、戦争指導者の戦争継続意思を絶てば、敵を無力化できます。
 手段を問わず(もちろん殺害も含まれる)、戦闘ができない状態に追い込めば、無力化状態です。殺すということにこだわる必要はありません。殺害すれば無力化になりますが、無力化するためには殺害しか手段がないわけではありません。無力化=殺害ではありません。

 最後に、カン氏の誤解というか、日教組の教育成果と言うべきか迷いますが、条文で世迷い言が書いてありますが、憲法9条は自衛隊の交戦権を全面的に禁止しているわけではありません。交戦権の禁止は、憲法9条解釈の一バリエーションです。数だけは多かった社会主義憲法学者のせいで有力な学説でありましたが、これを通説と言い張るのは、旧社会党系の人間ぐらいなものです。
 憲法9条は、自衛権をみとめているという解釈の方が通説(憲法学は専門じゃないので、自信はない)というか、政府判断です。憲法がどう書いていようと、指揮権を持つ政府が自衛権(=交戦権)を持つと判断している以上、自衛隊は外国の軍隊に対して実力を持って抵抗します。
 さらにいえば、憲法9条は、法規範ではなく「いつかできればいいなぁ」という理想をしめしたものにすぎないという解釈もあります。(あきらかに、現実に反してる条文を法規範として憲法に書くわけないだろう。従って、現在、政府が従うべき法規範ではなく、将来到達すべき理想を書いたものであるという解釈をする。)これに、高度の政治判断を必要とする事項は、裁判所の判断ではなく、国民と国民の信託をうけた政府が決めるべきであるという解釈が加わって、条文に「国の交戦権は、これを認めない。」と書いてあるけれども、交戦権はあるだろうという運用を行っているわけです。

 ま、解釈レベルで運用するから、論争があるんですけどね。基本、自衛隊は交戦権を保有しております。

.. 2009年08月20日 04:05   No.574010
++ 多足       
カンさんの認識に関しては、ナナシ氏が的確な指摘をしてくれてるので、それを参考にしてください。ちょっとここまでをまとめてみますか。

・とりあえず軍隊、戦争ってものの意味を考える上で、「軍隊」という組織の話と、「戦場」という現場の話は切り離す。まずは軍隊の話から。戦場の話は、後ほど。

・自衛隊も軍隊として話を進めたいトコロ。あれほど大きな武力組織で、交戦権もあるんだし。自衛隊を別扱いして話を続けると面倒なんで。

・軍隊ってのは建前上「権益を守る、防衛的な存在」ってなってるけど、まあ実際はなんや言って攻め込んだりもしますよ。「権益」が何を指すかは、また後ほどってことで。

以上、こんな感じでよろしいでしょうか?

あ、そうだ、「戦場における敵の無力化」で端的な例を一つ。対人地雷の話です。今の対人地雷ってのはよくできてて、踏んだ兵士を「殺さない程度」の威力になってるんですよ。足だけ吹っ飛ばす感じ。するとだ、踏んだ兵士+その兵士を看病するために運ぶ複数の兵士、という具合に、一発の地雷で戦場において5人近くの敵兵を無力化できるし、足を吹き飛ばされた兵士は長期入院、その後の保障などなど長期的に様々な負担を相手国に強いることが出来るのです。まさに悪意の結晶と言えるテクノロジーですね。

さて、当スレ関連の話は、以降新規スレでお願いします。その流れ次第で、自分も新規スレ立てたりなんやで話を進めていきたいと思います。

.. 2009年08月20日 10:39   No.574011
++ 多足       
ああ、まとめで一つ忘れてたんで、これだけ追加。

・軍隊の仕事の一つに、治安維持と災害出動ってのもあるけども、これらは基本的に警察や消防の手に負えなくなった時に出てくるもの。普段から訓練してるとはいえ、これ専門の軍隊ってのは多分無いんじゃないかな? 逆に、これをやらない軍隊ってのも無い気がするし。

.. 2009年08月20日 10:55   No.574012


▼返信フォームです▼
Name
Email
   
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用