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■--イゼルローン要塞と、原作者。
++ HINAKA          

HINAKAです。

SF的巨大移動要塞の運用について。

スミマセン、話題がすっかり軍略的な問題となっていったので、差し出口を挟みたくなかったのです。
まず、1番大きな問題は、これを真剣にSF的宇宙空間の戦闘戦略における、必要性と必然性で論じるには、田中芳樹原作は不向き。だと、思います。

まず、作者本人が「これはいわゆるSFとは違う、敢えていうなら空想疑似戦記だろう」と、あちこちの作品で、繰り返し述べている点です。
本人も認めている通り、帝国の主星オーディンも同盟の主星ハイネセンも、ナゼか南北半球が無くどちらも、日本的に四季があります。自転公転速度は現在の地球と同じで、時刻と年月も同じですから、暦も基本的に初期値と呼び方が違うだけで、同じ24時間1日・1ヶ月30日前後・1年365日となっています。

また宇宙艦隊の艦船及び、あらゆる宇宙施設には、原理不明の重力発生装置があり、これはどんなに破壊されても、絶対に壊れない構造に?なっています。
原作者本人が、「登場するほとんどの惑星が、断りのない場合には地球型で、地球人以外の宇宙人は存在しない」と言っているように、正直な話映画スター・ウォーズ・シリーズよりも、デタラメです。

御当人の中国史に対する造詣の深さは、御承知かと思いますが、彼は孝明嫌いで基本的に正史を重んじ、「三国史演義」や「水滸伝」を軽視?(言葉が悪いかな……)しています。
それはとかく、これも自身が述べている様に完全な文系で、理数系特に天文物理には無縁の存在だそうですので、人工惑星の構造など必要のある場面以外は考えてもいないようです。

むしろ、これには道原かつみ氏のマンガ版の方が詳しく、彼女はわざわざメカデザインに別人を雇って、詳しくどうなっているのか?という説明を受けた上で、作品に登場させています。
極め付けは惑星主砲のトゥール・ハンマーで、原作ですら想定していない、「基本的に、1基のエネルギー砲があるのではなく、惑星上の全浮遊砲台を集約して、1点に凝縮して発射する事を便宜上そう呼んでいる。その為、発射の準備に時間を要し、さらにこの方法で発射する以上、その最中は惑星上は無防備となる」という、説明です。
立てて加えて、そのマンガ版ですら採用した、「イゼルローンの惑星表面を、液化重金属の海が被っている」為、砲撃に対する防御と美しい水色に表面が覆われている。というのは、アニメ版の設定で、原作では無味乾燥な「超硬化金属と硬化セラミックの、複合多重装甲が何重にも重なっている」だけです。

そしてイゼルローンの動力源は、核融合炉となっていますが……ちなみに、宇宙艦艇全ての動力源が同じです。
謎の重力発生装置といい、惑星主砲といい、果たして動力源として足りるのかどうか?
惑星内で、人工的に食糧の自給が出来るとありますが、どうやっているのか?
謎は、深まるばかりです。田中芳樹作品を映像化すると、文章の曖昧な表現と視覚映像化された時の情報量の差が、歴然となりそこを適当に補完すると、本来面白い、または荘厳な見せ場がとても陳腐になるという、何とも言えない悲劇があります。

イゼルローン回廊とフェザーン回廊は、周囲を暗黒宇宙に囲まれているため、一種のトンネル状態となっているとの事ですが、そこに人工天体を建造したとして、自立行動不能な場合(事実上のイゼルローン要塞)には、どうやってその空間に固定?するのか……。
恒星の周囲を巡る惑星や、惑星の周囲を巡る衛星と違って、重力バランスが取れるハズはない……と、思われます。

〈その2に、続く〉

.. 2008年11月20日 04:47   No.393001

++ HINAKA       
〈その2〉

ですから、イゼルローン要塞に関しては、「在るから、在るんだ!」と言うしか無い訳で、その上での議論になるのですが……。

極論で言えば、物語の上で必要だと言えば必要!
と言う実も蓋もない上に、何ら無意味な結論なので、パスするとして……まず、そこが帝国側の主要宙域から遠く離れた、辺境にある。
という設定で、帝国軍の伝統である、艦隊の出撃は主星からという慣例を守ろうとすれば、回廊から同盟軍が進行して来る度に、ある程度の進行を許す形で、迎撃しなくてはならない。

そこで物語は、同盟と帝国では軍事力と生産性にに差があり、同盟側が若い分だけ?不利。
と、なっています。つまり長らく同盟には、イゼルローン回廊を抜けて、帝国中枢部への直接攻撃行う程の余力が無かった!
逆に、帝国側にはその力はあったが、いったん同盟後略に乗り出すと、その行軍は長く、しかも同盟側は常に守勢を保ち、イゼルローン回廊出口での迎撃に専念するので、長期戦になるのが常で、要はまず士気が低下し、補給の問題もある。と言う事です。
この前提で、イゼルローン回廊内にいわば前線基地とも言うべき、巨大軍事施設。即ち、人工天体を設ければ、遠征の際には補給基地として機能し、常時は敵進行の防衛戦となる。
ここで重要なのは、自立行動できる(?のですよネ……)人工天体であり、攻撃型の移動要塞であるデス・スターとは異なり、前線基地としての機能さえ保持し、侵攻範囲の限られる回廊内さえ完璧に防衛できれば、問題無い訳です。

この事は、物語の当初、ヤンがイゼルローン要塞を奪取した後、本人曰く「逆侵攻などという、バカなことさえ考えなければ」一時的な休戦か、和平条約を結ぶ可能性があった。
のですが、残念ながら彼の希望は儚く消え、同盟はそれこそイゼルローン要塞を、前線基地として帝国側に侵攻しました。御承知の通り、これはラインハルトの一種の焦土戦術の前に、簡単に敗れ去りました。
これを評して、ヤンは「ラインハルトが恐ろしいのは、これの策が有効と分かっていて、実行できる事だ。自分には、有効と分かっていても、自国民を飢えさせる策など、出来はしない」これ以降、同盟はその軍事力を及び国力全体を大幅に減少させ、辛うじてヤンがイゼルローンを守る限り帝国軍の侵攻は無いと言う、いわば国境の小競り合いは、前線指揮官と防衛軍に任せッ放しで、同盟政府は内政の権力争いに夢中!状態となります。

それこれも、ビュッコク提督が言った「無敵の要塞に、無敗の提督がいるから、自分達は安楽にしていられると、根拠の無い幻想にしがみついた」結果です。
帝国軍は、イゼルローン回廊からしか攻め込めない?この前提条件を、少なくとも作者が多くの読者が納得するミスリードで、展開したからこそ、この物語の展開は成功しています。

〈その3へ〉


.. 2008年11月20日 06:14   No.393002
++ HINAKA       
〈その3・完了〉

では物語を離れて、イゼルローン回廊の帝国側に、同規模のそうガイエスブルク要塞を設置したらどうなるか?
それこそ、38度線を挟んで睨み合う、南北朝鮮問題と同じでしょう。事実上、法律的にも儀礼的にも、道徳的にも休戦すらしていない敵と差し向かいで、睨み合うしか手は無いでしょうネ。
そして東西ドイツ問題のように、両陣営に極端な経済格差、国力格差が生まれ、闘うまでもなくそれが勝った側の自然勝利でしょう。
劣った側は、この世界にフェザーンを除けば敵勢力しか無い訳ですから、劣った側に救援の手は差し伸べられません。従って、東ドイツのように自壊するか、もしかしたら北朝鮮がやるかも知れない、破れかぶれの無謀な攻勢に出るかの、どちらかだと思います。但し現実の北朝鮮には、そうされては困る国際社会の思惑がありますので、いわゆる「罪もない国民に対する支援」の形での、救援がありそれが国力を延命させているとも、言えるかと思います。

と言うように、物語とその設定優先?で考えた場合、天体規模の要塞は必要か否か!?という問題は、「必要」で決着すると思います。
但しその場合、あらゆるSF考証的設定は無視し、同盟政府と同盟軍内部の権力闘争的な、挙国一致の軍事下状態の政府と軍部とは思えない、お気楽極楽ブリも、考えない場合です。

この点に、不満を感じる方も多いようですが、中国史上でこういう展開は、少なくなかったようです。
強大な「金(だったかな?モンゴル系騎馬民族国家)」に何度も侵攻されながら、何とか持ちこたえた北宋(南宋は、もう滅んでいたと思います)は、ついに時と人を得て、金を黄河の反対側に追い返したのみならず、そのまま敵国への侵攻も可能という状態になりました。
しかし、天下の?文民国家であった北宋は、それ以上巨大な武勲を、その将軍に挙げさせる事を恐れる文官の策略と、現実に侵攻後略したら、誰がどのように北部一帯を納めるかという問題に窮したようです。

かくして北宋の皇帝は、遂に軍に対して黄河の渡河を禁じ、遠征の終了と帰還を命じました。
歴史的には、これは北宋の過ちであり、その結果再び勢力挽回した北方民族(もはや国名忘れました!)に、今度こそ討ち滅ぼされたのだと、記憶しています。
古くは古代共和制ローマの首都ローマ市を歴史上唯一他国の軍隊として包囲した、カルタゴのハンニバルもまた、故国の救援もなく届いたのは帰還命令でした。

まァ、歴史的事実はともかくとして、戦術シュミレーションとして、広大な宇宙を舞台に拠点となるべき惑星や星系を持たずに、彷徨う軍事国家があるとすれば、その拠点として天体規模の移動基地は必要でしょう。
まさに映画版「さらばヤマト」の、白色彗星帝国のような……但し、あれだけの軍事力を持ち、各惑星や星系国家を滅ぼしたのならば、何でそこに拠点や植民地を作らなかったのか?
この問題を立脚点に、田中芳樹が展開したのが、奇しくも現在NHK・BSアニメで放映中の未完大作「タイタニア」だと思います。

タイタニアが、ヨーロッパ側から見たモンゴル系騎馬民族タルタル人。
つまり、ギリシア神話のタイタン一族になぞらえらえれた軍事国家(民族?)を踏まえた、命名である事は間違いないでしょう。
タイタニアもまた、虚空に浮かぶ城?を拠点とし、領地を持たない戦闘集団の1族として描かれています。

さて、完結していない物語を、どうアニメはまとめるのかが、実に興味深いところではあります。

今回は以上ですが、意味はありましたか?

.. 2008年11月20日 06:28   No.393003
++ 多足       
えーと、つまり「銀英伝としてはメカ設定は物語の脇役なんで、深く考えないこと。お話の基盤として両国の睨み合いを演出する上で出てくるものだから、イゼルローン要塞はそこに在るんだからOK」という感じでしょうか?

当HPのコンテンツの一つ、「MS小百科」ですが、最近更新できていません。ぶっちゃけた話、ガンダム世界の設定考えるのがこの頃相対的に楽しくないからです。何に対して「相対的に」なのかと言うと、現実世界の兵器開発、戦史と比べてです。
現実世界の兵器、その運用、開発過程、その背景にある社会的、歴史的な事象に対する考察。その深みが面白くて面白くて。
「設定」という土台の上に作られた物語であり、後からいくらでも設定が追加変更されていく架空の世界のことをいくら考えても、現実の深みの前には霞んでしまって、すぐ飽きてしまうんですよこの所。

それでも割り切って「その作品世界的にOKならそれでいいんじゃね?」というスタンスで行ってるのが現状。

正直な話、HINAKAさんとつかじさんには悪いのですが、「昔はそこそこ好きだったけど今は結構どうでもいい田中芳樹作品」に対して、あんまし盛り上がる気持ちにはなれません。申し訳ない。

まあそれはそれとして。
デススターとイゼルローンは運用目的が異なる、というのはズバリその通りなんでしょうね。それは惑星を破壊できるとか、大きさがどうとかって話ではなく、根本的な設計思想が違う、似て異なるものって訳ですね。
白色彗星帝国に関しては、おそらく「なぜ拠点や植民地を作らなかったか?」という疑問自体が違うんでしょう。征服ではなく略奪が目的である組織。統治する気は無く、ただただ必要な時に奪うのみ。
はたから見た騎馬民族やヴァイキングのイメージじゃないでしょうか? 実際には略奪組とは別に、生産組もいるんですがやっぱ略奪組が目立つ。…もしかしたら白色彗星帝国にも後方の生産地域があるのかも???

.. 2008年11月20日 10:02   No.393004
++ つかじ       
う〜ん。どうしたモンかなぁ(苦笑)
え〜っとですな教官。当方物語云々って話はしてないのですよコレが。前回の話もどうも変な方向へ行っていたので、起動修正の意味も込めて「あくまでも移動要塞の有用性についての話」と銘打った訳なのですが。今回も何故か?お話と作者の話になっているので困惑気味です。

そして。前回カキコしたレス内で、完結させたと思ったのですがまたも難しい話だったので、今回はレス無しとさせて頂きます。
(何回も言いますが、僕は要塞の話以外する気が無いです。言いたかった事は、前回ので想定済みですので)

<多足さんへ
>あんまし盛り上がらない。
いや、僕も「話自体」の話はする気も無かったですよw
先に書いた通り、どうも変な方向へ行って居るので、本当に「移動要塞の話」は完結しましょう。これ以上レスも付かないでしょうから。

.. 2008年11月20日 10:36   No.393005
++ 多足       
…HINAKAさんが立てた別スレに移動します。
.. 2008年11月21日 11:16   No.393006


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